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船長日記
上池田寛親著
扠かの台の上へ、日本の絵図いとくはしく書たるおのべて、べげつ初め三人にて図おさし示し、じつぱん(○○○○)〳〵と雲へども、何のわけかもしれず、又指にて図おさしおしへて、みやこ、きうしう、えど、するがといふお聞て、扠は日本の人にて、いづくの人にかと尋るならんと思ひて、〈◯中略〉重吉我身おさして、じつぱんといひ、扠三人の身おさして、いかにといふ仕方おすれども、通ぜぬ故、同じ事お十遍ばかりしたれば、漸思ひ得たりと見えて、らんだんとぞいひける、〈◯中略〉日本の事おじつぱんといへば、少しは言葉の違ふ事も有べし、〈◯下略〉