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日本地誌提要
一総国
形勢 地形修長、山脈北より起り、陸羽の間に至り、奥峻お極め、分れて数脈となり、皆蜿蜒西走し、東海、東山、北陸三道お界す、其信濃に至る浅間山と為り、甲駿の間に至る者、富士山と為り、東海に挺立す、其分脈南出して、伊豆半島おなし、更に海南群島に連る、北陸道の一脈、加越の間に至て、白山、立山と為り、其近江に至る者、両支お分ち、其一伊勢大和お経、吉野山に攅集して、紀伊に趣き、其一西に去て、山陰山陽二道お界し、西海道に至り、筑豊お経、南折し、阿蘇、霧島等数峯、肥後日向の間に盤踞し、琉球群島に至る、山陽及紀伊の余脈、淡路島となり、終に四国に連り、雲辺山、石鎚山諸山と為る、淡路島以西、山陽四国の間、島嶼碁布、是お瀬戸内海と雲ふ、其東口お明石峡となし、其東南口お鳴門峡となし、其西北口お下関峡と雲ふ、東海北陸の大川、皆源お東山に発す、其東流する者お、利根川となす、其北注する者お、信濃川と称し、南注する者お、天竜川と雲ひ、西注する者お、木曾川と雲ひ、近江湖に発するお、淀川と雲、山陰道江川あり、四国吉野川あり、西海道筑後川あり、皆海内の巨川とす、武総の際平坦膏美、所謂沃野千里の地なり、全国気候、寒暑大率中正、北方早寒多雪、極南恒燠、物産豊饒、猶五穀お殖し、五金の鉱に富む、