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地誌解題

大日本 我邦の総称、史にあらはるヽものは、神代巻に始起大八洲国之号焉とあれば、太古には大八洲と号せしなるべし、〈◯中略〉百四十四国〈◯註略〉の国造おおかれしよし本紀に見ゆれど、今の郡郷おもて国と称せしゆえ、其一国といふもの、大小経界今よりはしるべからず、〈◯中略〉文武〈四十二代〉の御時、慶雲三年使お諸国に発して、始て田租の法おさだめ、七道の名此時にはじまる、〈◯中略〉此時〈◯嵯峨天皇弘仁十四年〉にいたつて、始て六十六国二島〈◯註略〉に定り、今にいたつてかふる事なし、〈◯中略〉扠各国の首長たるもの、神武天皇よりこのかた今にいたりて、すべて五変に及べり、初は国造おおかれ、次に国司となり、又国主とかはり、公武わかれて国主守護並びたち、戦国おへて今の制にいたれり、