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古事記伝
二十九
さて天の下の国々の分属(きざみ)の、古書に見えたるは、水垣の宮〈◯崇神〉段に、高志(こし)の道、〈後の北陸道な〉〈り〉東方十二道(ひんかしのかたのとおまりふたみち)〈日代の宮の(景行)段にも見ゆ、東海道なり、十二は国の数ぞ、〉書紀の同御巻に、北陸東海(くがのみちうみつみち)、〈崇峻の巻に北陸道東海道と見ゆ〉西道(にしのみち)〈山陽道なり〉また四道(よつのみち)〈古の北陸東海西道と丹波となり〉景行の巻に、東山道(ひむかしのやまみち)十五国など見え、〈◯中略〉天武の巻に、山陽(かげともの)道、山陰(そともの)道、〈成務巻に、山陽山陰とあるは、此二道お雲るに非ず、〉又東海、東山、山陽、山陰、南海、筑紫と六道並(ならび)て見え、〈此に北陸の入らざるはいかなることにか〉文武紀に、七道と見えたり、〈◯下略〉