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古事記伝
二十九
大凡諸国の古への分(きざみ)ざまは、後の世の国お分て郡とし、郡お分て郷とせられたる如くに、際々(きは〳〵)しくはあらで、国の内なる地おも、又国と雲るたぐひ多し、此記に陸奥の石城国造、常道(ひたち)の仲の国造などあるが如き、陸奥も国なるに、其国内なる石城おも、同く国と雲、常道の国内の仲おも、同く国と雲ひ又書紀継体の巻の歌に、春日国、万葉に、吉野の国、初瀬国なども雲るが如し、是れ後に郡と定められたるほどの地などおも、通はして同く国とも雲しなり、〈◯下略〉