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古事記伝
二十九
抑上代の国境(くにところ)の御制(みさだめ)は、細(こまか)なる事は、詳に知りがたけれども、古事どもに、事にふれて往々見えたる趣きに就て考ふるに、後の世の如く、際やかなることこそ無かりつらめ、大方には元よりも国々の堺限(さかひ)などもありはしけむお、此の御世になほ又慥に定め賜ひしなり、〈此れより先には、堺もなかりしお、初めて定賜ふとには非ず、◯下略〉