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大和事始
一天地
分国定境 いにしへ日本の国数、凡百四十四国ありしよし旧事記〈第十巻〉に見えたり、壌地扁小なるお以て、故に漸々に其国お并て総数お減じ、或其国のあまりに大なるは、逐世割分ものも又往々これあり、嵯峨天皇弘仁十三年、越前国お割て、加賀国お置給ひしより後、始て六十六州となる、林逸が節用集に、文武天皇の御宇六十六け国に分給ふとあるは誤也、日本紀にこの事なし、況又文武帝の後、国お分れしもの数国あるおや、