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神皇正統記
桓武
はじめは平城にまします、山背の長岡にうつりて、十年ばかり都なりしが、又今の平安城にうつさる、山背の国おもあらためて山城といふ、永代にかはるまじくなんはからはせたまひける、むかし聖徳太子蜂岡にのぼりたまひて、太秦(うづまさ)いまの城お見めぐらして、四神相応の地なり、百七十余年ありて、都おうつされて、かはるまじき所なりと、宣ひけるとぞ申伝えたる、其年紀もたがはず、また数十代不易の都となりぬる、誠に王気相応の福地たるにや、