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大鏡
七太政大臣道長
鎌足のおとヾむまれ給へるは、常陸の国なれば、かしこのかしまといふところに、氏の御神おすましめたてまつり給ひて、〈◯中略〉みかど、ならにおはしましヽときは、かしことほしとて、大和みかさ山にふり奉りて、春日明神となづけたてまつりて、いまに藤氏の御氏神にて、おほやけ、おとこ女づかひたてさせ給ひ、〈◯中略〉みかど、この京にうつらしめ給ひては、又ちかくふり奉りて、大原野と申、〈◯中略〉なおもちかくとて、またふりたてまつりて、吉田と申ておはしますめり、この吉田の明神は、山かげの中納言のふりたて奉り給へるぞかし、