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賀茂皇大神宮記
治承四年六月九日、福はらの新都事はじめあり、卿上雲客此所の地お定めけるに、一条より五条までありて、五条以下はその所なしとて、事不行して人々かへられけり、其時公卿僉議ありけれども、未定なり、先里内裏お、造進せらるべしとて、五条大納言邦綱卿周防国お給(○○○○○)て、六月廿三日に事はじめして、八月十日上棟と定られける、彼大納言邦綱卿は、大福長者にておはしましければ、造出さむこと、左右に及ばずとなり、〈◯下略〉