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本朝二十不孝

今の都も世は借物 世に身過は様々なり、今の都お清水の西門より眺めまはせば、立続きける軒端の内蔵は景色、朝日に映りて、夏ながら雪の曙かと想はれ、豊なる御代の例、松に音無く、千歳鳥は雲に遊びし、限も無く打避き、九万八千軒といへる家数は信長時代の事なり、今は土手の竹薮は洛中になりぬ、〈◯下略〉