山州名跡志

一八郡封境

葛野郡　当郡は愛宕(おたぎ)の西に双て南北に長し東は洛陽朱雀通にして、艮は紫野の北、氷室に宣り、北は小野、東河内、西河内、真弓等お摂し、北に山あり、丹波お為隣、乾は鷹峯の奥長坂、及杉坂お経て細河に至り、其上に丹波堺あつて、彼国山国に至る、委巻中、其南西は北山、絹笠、大内山〈仁和寺山〉お限り、及栂尾、高尾、愛宕山お限り、其南は松尾、葉室山等お限り、其南は大枝の坂お限る、西後皆丹波と為隣、〈坂峠西有国界、見巻中、〉坂より東に至ては、檞原(かたぎはら)、桂お経て、川勝寺村、東は朱雀通お限る、川勝寺の坤に御所の内梅が小路村あり、其西南は牛が瀬、下津林、唐橋等お経て、南は九条通、巽は朱雀通の辻お限る、又西九条村、東塩の小路等の民居、是お当郡に摂す、此地愛宕郡の地なり、此所末代に至て田畠となすお以て、年貢公役について、其支配所に従ふに、次宜ゆへなり、東塩小路といふは、東洞院通七条の南一町許に、大路の東に民居ある是なり、是今葛野郡に摂す、其南に洛陽外封の土堆あり、是より五町許に九条通あり、是お限る、其南は紀伊郡也、