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今昔物語
十六
山城国女人依観音助遁蛇難語第十六 今昔、山城の国久世の郡に住ける人の娘、年七歳より、観音品お受け習て読誦しけり、〈◯中略〉其の後蛇の苦お救ひ、多の蟹の罪報お助けむが為に、其地お掘て、此蛇の屍骸お埋て、其の上に寺お立てヽ、仏像お造り経巻お写して供養しつ、其寺の名お蟹満多寺(○○○○)と雲ふ、其の寺于今有り、其れお世の人和かに紙幡寺(○○○)と雲ふ也けり、本儀お不知ざる故也、