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応仁後記

雪敲事附畠山義豊自害事 畠山尾張守尚順は、和州奥の郡に隠れ居て、年月お送られけるが、彼家人に木沢と雲侍有り、〈◯中略〉主人の敵お伐亡し、尚順お本領に還し入ればやと、忠義骨髄に徹し思けるが、木沢其頃、浪人にて落魄の身なる故、軍用の儲無れば不力及、泉州の堺の庄え落行き、商人に成てぞ歎き居ける、