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摂津国は五畿内の一にして、東は、河内、西は播磨、南は和泉及び海に面し、北は山城、丹波に接し、東西凡そ十二里、南北凡そ九里あり、此国は初め浪速国(なにはのくに)と雲ひ、後に津国(つのくに)と雲ひしが、天武天皇の六年に始て、摂津職お置き、大宝の制、摂津職おして津国お帯せしむ、桓武天皇の延暦十二年職お停めて国と為し、国府お西生郡に置き、住吉(すみよし)、百済東生(くだらひがしなり)、西生(にしなり)、島上(しまかみ)、島下(しましも)、豊島(てしま)、河辺(かわのべ)、武庫(むこ)、兎原(うばら)、八部(やたべ)、有馬(ありま)、能勢(のせ)の十三郡お管し、延喜の制上国に列す、明治維新の後、住吉、百済二郡お東成部に併せ、兎原八部二郡お武庫郡に併せ、島上島下二郡お合せて三島郡とし、豊島能勢二郡お合せて豊勢郡とし、新に大阪神戸の二市お設けて、大阪府及び兵庫県おして之お分治せしむ、