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三国地志
七十八伊賀
名張郡 郷名 簗瀬〈和名抄雲、名張、和名奈波利、今廃曰簗瀬、◯中略〉 按、もと簗瀬村は村名なり、倭姫世記に簗作瀬(やなせ)の細鱗魚(あゆお)お奉ると、是地名のおこる所なり、元徳元年、及養和元年東大寺古文書に、簗瀬荘に作るは、本寺の荘園となればなり、今南出、北出、平尾、蔵持、夙、この六郷お簗瀬郷と雲、 夏見〈又、作夏箕今廃、◯中略〉 按、康保年間東大寺古文書、及後鳥羽院御巡礼記、神宮古記録等、皆夏見郷に作る、今村名に存す、 周知 按、今所在詳ならず、 已上和名抄に出る所なり 薦生 按、蔫生、八幡、鵣山、家野、葛尾、西田原、下三谷の七邑、今呼て薦生郷と雲、 大屋戸 按、大屋戸、短野、夏秋、松原の四邑、今呼て大屋戸郷と雲、 安部田 按、安部田、黒田、井手、結馬(けちま)の四邑、今呼て安部田郷と雲、 矢川 按、矢川、上三谷、滝口、市之井、滝長坂の五邑、今呼て矢川郷と雲、 檀 按、檀、柏原、星川の三邑、今呼て檀郷と雲、 中村 按、中村、瀬古口、青蓮寺、夏見の四邑、今呼て中村郷と雲、 丈六 按、丈六長屋の二邑今呼て丈六郷と雲、 比奈知 按、上比奈知、下比奈知、滝原、長瀬、布生、奈垣、神屋の七邑、今呼て比奈知郷と雲、 已上八郷今存する所なり 黒田〈今廃◯下略〉