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倭訓栞
前編三伊
いせ 神武天皇の兄に五瀬命ましませり、後撰集にいせわたる川などよめるは此義なり、又五十瀬の義なりともいへり、伊勢の国の名義も同義にて、江次第に渡安濃川三瀬、夫木集に、 鈴鹿山いせ路にかよふ三瀬川のみせばや人に深きこヽろお、とも見えたれば、川瀬の多きよりの名なるべし、真名伊勢物語には、妹背と書り、猿田彦、鈿女命の故事によれるにや、古事記に伊勢部お定めし事見えたり、