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日本鹿子

同国〈◯伊勢〉名所之部 鈴鹿山 坂の下より土山へ越る間也、坂の上に鈴鹿御前と雲宮あり、〈◯歌略〉 八十瀬川 俗に鈴鹿川と雲、関の宿より鈴鹿の坂下迄、同じながれお幾度と雲ことなくわたる也、しかるゆへに八十瀬川と雲にや、〈◯歌略〉 阿野の松原 鈴鹿より六里東也〈◯歌略〉 銭掛松豊国野 安部郡なり、むかし西国の人参宮せしに、此松に銭壱貫文かけ置、本国にかへりしに、此銭人のめにはへびになりて見ゆる、それより三け年過て、又かの銭ぬし参宮の節、此銭お取て参宮おせしと雲伝ふるも此所の事也、 星川 朝明の里 海の宿也、日永川と雲あり、阿野より行程三里也、川は北より南へながれたり、浦ちかき所なり、 桑名 日永の宿まで三里なり、桑名も海辺なり、〈◯歌略〉 竹の宮 斎宮の御座所也、山田より三里計北也、海辺也、櫛田川雲津川と中間近し、〈◯歌略〉 宮川 山田の入口也、此川にて参宮の人祓おする也、〈◯歌略〉 天照篇 俗に天の岩戸といふは外宮の上也、南方に山あり、此山に岩戸有之、神路山といふ、岩戸南向也、山は高からず、〈◯歌略〉 五十鈴川 内宮へ参詣の人、此川にて祓するなり、此川は御山より西也、南より北へ流たり、御もすそ川とも雲也、〈◯歌略〉 朝熊 内宮より一里計北の海ちかくなり、宮あり、鏡の宮と雲也、〈◯歌略〉 二見浦 参宮の人、此浦に行てこりお取て参詣すれば、不浄おさりぬとて、多くは先援に行て身お清め、其後さんぐうする也、 伊勢海 総名いせ浦おさしていふ也、涙の浦など雲あり、〈◯歌略〉 伊勢島〈◯歌略〉 錦の浦〈◯歌略〉 涙川〈◯歌略〉 忘井〈◯歌略〉 立入 飯野郡の内〈◯歌略〉 阿漕の浦 星合の浜 逢洲の浜 千刃海 大淀の浜 千寿の浜 一志の浦 是等はみな伊勢浦につヾきてある名所也、 車の岡 川口の関 小野 小塩井 鞁の嵩 林崎 右の分は、みな渡会のうちにある名所依之有所也