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尾張志
古今のかはり むかしは海部郡(○○○)といひて、尾張のうち西南の隅にて、海にそひたる大郡なりしお、六七百年さきつかた、右大将頼朝卿治世の頃にや、二郡にわかちて、東お海東(○○)とし、西お海西(○○)と名づけたり、此故に続日本紀の神護景雲元年五月戊辰の記、同三年七月甲辰の記、日本後紀及類聚国史の延暦十八年五月己巳の記、天長九年己亥の記、三代実録の貞観六年八月八日壬戍の条、元慶元年十二月二十五日辛卯の条おはじめ、和名類聚抄、延喜式等、その外数百部の古書どもに、みな尾張国海部郡と記せり、