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源平盛衰記
四十五
内大臣関東下向附池田宿遊君事 二村山お過ぬれば、三川国八橋お渡給ふ、昔業平が劇草(かきつばた)の歌読たりけるに、皆人袖の上に涙お流しける所と覚しけるも、御涙関敢給はず、矢矯宿(○○○)おも打過、宮路山おも越ぬれば、赤坂宿(○○○)と聞えけり、三川入道大江定基が、此宿の遊君力寿と雲に後れて、真の道に入事も、あらまほしくや思召けん、高師山おも過ぬれば、遠江橋本宿に著給、