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今昔物語
十九
参河守大江定基出家語第二 今昔、円融院の天皇の御代に、参河の守大江の定基と雲ふ人有り、〈◯中略〉而る間其国にして、国の者共風祭と雲事おして、猪お捕生け作ら下しけるお見て、弥よ道心お発して、〈◯中略〉守其の日の内に国府お出て京に上にけり、道心堅く発にければ、髻お切て法師と成にけり、名お寂照と雲ふ、世に参河の入道と雲ふ此れ也、