[p.0567]
倭訓栞
前編十八登
とほつあふみ 倭名抄に、遠江およめり、遠つ淡海の義也、枕草紙の歌にはしか見えたり、たとつは通音、つあ反た、はふ反ふ也、万葉集に、とへたほみとも雲へり、今はとほたふみとよめり、皆音のつヾまりたる也、神名式磐田郡に、淡海国玉神社みゆ、もと国に湖ありしが、永正七年に、地震洪水の変ありて、湖海一に通ぜしより、今は名のみなりき、山つなみにて宝螺の出たるにや、今切の渡りといへり、もとは虎関の詩に、左海右湖同一碧、長江合含両波漣と作れり、