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沙石集
六下
正直之女人事 近比奥州のある山寺の別当なる僧、本尊お造立せむと年来思企て、金お五十両、守袋に入て頸に掛て上洛しける程に、駿河の国原中の宿(○○○○)にて、昼水おあみける家にて、此袋お忘て、菊川にて思出したりけり、