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万葉集枕詞解

なまよみの 〈かひのくに〉 巻三〈二十七丁長歌〉に、奈麻余美乃(なまよみの)、甲斐乃国(かひのくに) 此はまづ奈麻余美乃(なまよみの)は、生善肉之(なまよみの)なるべし、甲斐とかヽるは貝の意なり、貝は鰒螺などおむねと雲ことにして、其は生(なま)の肉(み)お作身(つくりみ)など雲ものにして食ふが、殊更に味善きものなればかくいへり、善きものお善(よ)某と雲例は、吉詞吉事(よことよこと)など雲是なり、肉おみといふは、いはゆる作肉(つくりみ)、刺肉(さしみ)など雲るにて知べし、