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和漢三才図会
六十九甲斐
甲斐白嶺(しらね)〈又雲〉甲斐之(が)嶺 何国ともかひの白ねはしらね共雪降毎に思ひ社やれ(後拾遺)〈式部〉 黒駒山 自此望富士山、向正南也、至吉田総名郡内、都留郡内而織出繊絹、呼称郡内柳条(しま)、 夢山都人覚束なさに夢山おみるかひ有て行帰らん(名寄) 塩山 指出磯塩の山指出の磯に鳴ちどり君が御代おば八千代とぞなく(古今) 山梨岡 足引の山梨岡に行水の絶ずぞ君お恋渡べき(続古今) 穂坂牧 相坂のせきぢにけふや秋の田のほさかの駒おむつ〳〵と引(堀川百首)〈公実〉 逸見御牧 在巨勢郡、穂坂小笠原等、皆有牧出駒、都までなつけて引は小笠原へみのみまきの駒にぞ有ける(家集)〈貫之〉