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新編相模国風土記稿
六十九鎌倉郡
小坂〈遠佐可〉管する村二十八〈雪下、西御門、二階堂、浄妙寺、十二所、大町、小町、乱橋、材木座、長谷、坂之下、極楽寺、扇谷、山之内、峠、大船、台、山崎、小袋谷、岩瀬、笠間、長沼、上倉田、下倉田、戸塚宿、矢部町、常葉、片瀬、〉是鎌倉七郷の一なり、〈按ずるに、谷七郷の称は、鎌倉大草紙、享徳四年、上杉長尾乱の条に、鎌倉へ乱入、谷七郷の神社仏閣お追捕して、悉焼払と見え、鶴岡社務次第に小坂郷、小林郷、葉山郷、津村郷、村岡郷、長尾郷、矢部郷と列書す、其うち葉山郷は今三浦郡にあり、郡界変遷して彼郡に隷せしならん、〉保暦間記に、小坂郡とのせ、永正六年の文書〈円覚寺竜隠菴蔵〉にも、小坂郡(○○○)長尾郷と見ゆれど、こは全く当時の偶記にて、郡名に唱へし証とは雲ひ難し、