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慶長見聞集

関東衣服昔に替る事 我〈◯三浦浄心〉若きころ、三浦に六十ばかりの翁あり、語りしは、大永元年の春、武蔵の国熊け谷の市に立しに、西国のもの木綿種お持来りて売買す、是お調法のものかなと、買とりて植つればおいたり、皆人是おみて次のとし、又西国の者持きたるお、三浦の者ども、熊け谷の市に出て買取り植ぬれば、四五年の内三浦に木綿多し、三浦木綿と号し、諸国にて賞玩す、夫より此方関東にて諸人木綿お著ると語る、