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南向茶話
問曰、芝辺品川筋之儀に聞及も候はれける事も候哉、承度候、 答曰、〈〇中略〉品川の号、或古老の物語に、元下無川と雲り、子細は、此前川海岸に近く、川下直に海に入るゆへ也と、此説慥ならず存候に、近頃俳諧人斎藤徳元、寛永五年冬、京都より関東下向の紀行の内に雲、加の川、此町の中に橋のかヽれる川あり、水上のなき川なればとて上無川と号す、かむ川なるお、かの川とは申とかや、〈〇下略〉今雲神奈川宿の事なれば、右之説これに似たり、