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和名抄諸国郡郷考
六武蔵
荏原〈江波良 今江戸麻生青山の辺おいへりとぞ、(中略)小山田与清雲、江戸と雲名のよし、荏処の略語にて、好荏の生る地なればなるべし、もとは荏原の郡に隷たりけん、国郡の境は世々にかはり行習ひなれば、後豊島郡に隷るにや、荏原と雲るも、荏の生列(なみ)たる貌(さま)に雲詞なり、安芸国高田郡麻原郷あるにも思ひ合すべし、県居翁の江の門の象といはれしは、しひごとにて、此わたり江の門ともいひつべき地形、古へにもきこえず、今もあることなし、さるお古学に心およせし人たち、大江の御門とさへいふめるは本おたヾさヾるみだりことになん、〉