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新編武蔵風土記稿
二百二十一大里郡
小泉村 小泉村は、江戸よりの行程前村に同じ、〈〇十六里〉此地名は古き唱にて、岩松氏所蔵の文永三年七月の文書に、当国小泉郷(○○○)お岩松氏領せしよし見ゆ、されど郡名おのせず、又矢野伊賀入道善久といひし人も、建武の頃男衾郡小泉郷お領せしといひ、又上野国世良田長楽寺元徳の頃の文書にもいづ、〈〇中略〉又隣郡男衾本田村教念寺所蔵、延文元年十二月三日の文書には、畠山阿波守国清申請にて、本田郷及小泉郷お同寺へ寄附し、康安二年六月六日の文書にも、此地お同寺へ寄附ありしことお載せ、共に男衾郡小泉郷と書り、然れば当村古は彼郡内に属して、後郡界の変革ありしなるべし、