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江戸方角安見図鑑

按に雲く、当地繁昌有由哉、土地方角扶桑無比、地理猶勝たり、先つ金城東面にして朝日お請け、南方お開ひて陽気お入れ、西北高くして陰お蜜す、蒼海の入江在て、万国の運送自由也、要害お以て謂之、東は海岸にして、諸候列臣館お並べ、西は武蔵野平々として、千有余里の壙野たり、南に多波川の落るあり、北に十根入間(と子いるま)の大河流る、又雲、東海道には箱根山峻、馬入に相模川あり、中山道に臼井峠嵩て、戸田の渡り角田川に流出る、如此の地理、自然と備て、更に不儲所也、