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春波楼筆記
永禄年間の江戸の図お見るに、南は金洲崎、白銀台、西は麻布、飯倉、今井村、今の江戸見坂辺お雲ふ、桜田村、今の霞が関なり、北は神田川、湯島、忍け岡、今の上野なり、不忍池より下谷の方へ流る川あり、また荒川は、今の千住川、浅草観音は島の如し又芝通、日本橋辺の町々、小川町、下谷、本所、深川、皆浅海にして、池の如し、浅草海苔の名明らかなり、海の漸々皐となる事は、援お以て知るべし、今より十億万年お経る時は、此日本、亜墨利加の地と接し続くなるべし、