[p.0978]
御府内備考
十三浅草
浅草は御城の艮に当り、浅草橋外より、北の方橋場新鳥越に及び、西は下谷に接し、東は大川に限れり、是今浅草と唱るの地域なり、昔は鳥越、橋場、浅草とは自ら分別ありしならむ、又浅草といふ地は、古へ千束郷のうちなりしと見ゆ、〈千束郷、後に千束村とも雲、今も千束の名残れり、〉現に浅草寺至徳四年の鐘銘には、豊島郡千束郷金竜山浅草寺と記せり、されど浅草の地名も、古くより伝ふる所にして、東鑑等の書にも載たり、