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江戸内めぐり
江戸名所いろは寄 い 守宮池(いもりがいけ) 牛込毘沙門堂の庭に在 井の頭池 四谷中野の先也 壱本松 麻布に在、嫉妬女(しつとめ)の墓印お雲、 いさらご 芝田丁九丁目より南の方お雲 ろ 六本木 かはらけ町より西の方 は籏け谷(はたかや) 千駄谷とさヽき村の間お雲 班女塚(はんじよつか) 下谷池の端の榊原殿屋敷に在と雲 に 二本榎の木 しろかね原正覚院の側に在 新堀(につほり)山 谷中の後に有、道灌城跡と雲、ほ 法眼(ほうけん)坂 二番町に在 堀かねの井 牛込村に在 星野山 永田丁山王権現の山也 菩薩曼陀羅石(ぼさつまんだらいし) 増上寺に在 へ 屏風坂 東叡山より下谷金杉へ下る坂也 弁慶堀 かうじ町辺井伊殿屋敷前御堀お雲 と 道元(どうげん)坂 しぶやよりせたがやに行道に在 独鈷滝(とつこのたき) 目黒不動の山にあり 常盤橋(ときは) せたがや領の宿の入口に在、小みぞにかヽれる橋也、御坂下常盤橋と不可混、 ち 千葉塚(ちばつか) はらば村総泉(そうせん)寺に在、 千葉石 本所亀井戸天神の少過て在 お 落合(おちあい)の坂 今井村赤坂新丁などより往還の行合 小栗坂 鷹匠丁水道橋へ上る所の坂也 狼谷(おヽかめたに) 四つや新町より先笹塚と雲所也 面影橋(おもかげのはし) なるこ宿と中野村との間に在 おとか淵 両国橋と三またの間お雲よし 大塚 駒込村の先塚の上に不動有 わ 別(わかれ)の淵(ふち) 三股に在、援潮水のわかれ也、 か 霞が関 桜田松平安芸守殿、松平筑前守殿屋敷の間お雲也、古歌に読る霞け関也、 鏡が池 あさぢが原也、梅若丸の母、我子のいくえおあくがれ、此所迄尋来り、我子の死したる跡に庵おむすびいけるが、此池にのぞみて、我面かげのおとろへたるおみて、其儘この池に身おなげ、むなしくなれりと也、 亀の井 神田すだ町に在 海晏寺の紅葉 品川海晏寺と雲禅寺の後山、一色にみな紅葉也、 烏の森 愛宕の下いなりの森お雲 鎌が淵 浅草駒形堂の前お雲 甲塚(かぶとつか) かやば町牧野殿屋敷の内に在 よ 横堀 浅草川也、援に立堀有に対して、横に有故かく雲也浅草川お東へ本所に至る川也、 鎧の渡 かやば町より小網町へ行渡しお雲、古へ平将門此所に来り、甲鎧お置たると雲、甲は甲塚とて、今牧野殿屋敷に在、 代々木野 中野先也 た 立堀 浅草川お東へ本所に至る川筋也 溜池 江城の西方山王の後也 玉川滝 赤坂 松平出羽守殿屋敷に在 高尾の紅葉 葉柴村正光院と雲浄土寺に在、そのかみ吉原三浦四郎左衛門が女郎、二代目の高尾とて、いと名高き大夫有て、万治の初方身まかりけり、其からお今の正光院の内に埋て、伝誉妙心と改名して弔おなせり、名女の名残もいとあはれなれば、名によそへて紅葉一もと植てしるしとせしに、大木と成、人のなつかしみおうくる色木と成れり、 つ 杖いてう 麻布に在、親鸞上人つき給へる杖おさし給ふが、栄て大木となれりと雲、 佃島 伊勢佃のりやうしの集て築たてたる島なれば、かく称すると也、鉄炮洲也、 綱(つな)塚 芝聖(ひじり)坂 功雲寺(こううんじ)に在 な 業平渡 浅草竹町より向へ越す渡し也 中野 四つ谷の淀橋の先お雲 う 嫗が池 浅草の東明王院の庭にあり、いわれこと〴〵しう雲侍る白 牛島 浅草川の向ひ也、下総の内也、 の 野中の井 谷中三崎(さんさき)の辺野中に在 や 柳の井 湯島天神男坂の下に有、又虎御門の内朽木殿屋敷脇にも柳の井と雲有、 柳島 本所亀井戸の近所也、 ま 真土(まつち)山 千住海道也、山上に聖天宮在、 真土山夕こへ暮ていほ崎の角田川原に独かもねん 是夏の事也、夏日にはいくばくの遊船お浮て、納涼のあせおすヽげり、 万年石 品川東海寺の泉水に在 ふ 富士見坂 赤坂松平出羽守殿屋敷の前也 富士見馬場 牛込若宮八幡の近所也 こ 小路町の井 神田明神の内の在 御福の井 初は伝通院の内に在、今は松平播磨守殿屋敷の内に在、金王桜 澀谷八幡宮の辺に在、澀谷金王丸が植置し木成といへり、古木は枯て新樹也、 腰掛松 目黒不動の坂口に在 幸国(こうこく)谷 市兵衛町より赤坂へ行坂也 骨塚原(こつかばら) 千住礫場の近所一片の原也、 あ 浅草川 角田川也、又は三屋戸(みやと)川共雲、 あか羽川 白銀原の先也、今新堀へ続て流、かはらけ町の末の橋お、あかばね橋と雲、其ひろこうじお、なべてあかばねと雲、白銀原の先と雲は、川上おさすらん、 浅茅が原 妙喜山の近所也 葵の岡 虎御門外織田殿屋敷前溜池池上江出る坂の辻番所の脇お雲 さ 桜川 芝に在、今源助橋の流おしか雲と、 鷺の森 麻布元御薬園の先也、宮在、 三途の渡 浅草かや町より向へ渡る所お雲也、明暦中焼死たるものお、舟に積て無縁寺に運びける川口なれば、初て三途の渡しとはいへる也、 き 行人坂 目黒の入口也 め 妙亀山 あさぢか原、総泉寺の前也、梅若丸の母堂おいへる山号也、 目黒川 行人坂の下こりかきば也 目黒原 此原お上めぐろ、中めぐろ、下めぐろとて、打つヾきて広野也、 み 三川島 谷中の後に在、往昔三河の諸士供奉の恩賞に給る地也、 し 清水坂 かうじ町尾陽公と井伊家の間お坂おいへり、 不忍池 上野の下也、弁才天の島あり、 白銀原 さぎの森の先よりなべてかく雲 忍の岡 東叡山お雲 品川の冲 毎年三月三日塩干の眺望、住吉の冲にひとし、 え 江戸見坂 虎の御門外松平大和守殿と、牧野駿河守殿間の坂也、 右衛門桜 四谷の末に在、此木誠に名木にて、春興宴楽不斜、此所おかしわ木村と雲、 永代島 本所の隣也、八幡宮在、 ひ ひじり坂 芝三田功霊寺の前也 せ 関口の川 目白不動の下に在、水道の枝川、 す 角田川 角田川はむさしと下総中間也 駿河台小川町の上の台也