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房総志料
五安房附録
一安房の輿地考へがたし、如何となれば、海湾迂曲、広狭幾といふことさだかならず、大抵東小湊浦より西淵崎まで、十二里許もありぬべし、南北は妻郎の鼻より鋸山まで、七八里といへども、是又山道直路の地ならざれば、詳なる事不可知、 一安房の山は、極で崇峻、然れども本州より望に、独清澄山のみ見ゆ、其他は不見、如何となれば、彼地方本州より一帯低ければなり、房総の界市け坂より、彼地直下に見ゆるにてしるべし、