[p.1013]
安房概志

郡名 朝夷(あさひなの)郡〈和名抄曰、阿佐比奈、〉 東面一帯海に浜して大洋お受け、南白浜村に起て、北長狭郡と隣る、其西方は、安房平群の二郡と接壌せり、此郡お朝夷と名ることは、国郡の東方に在て、前面一帯蒼海に臨み、朝日の海中より出お見る、因て朝日(あさひな)の郡と呼ぶ、万葉集には朝夷に作る、日夷の字同くひなと訓ず、武夷鳥(たけひなとりの)命或は武日鳥(たけひなとり)命に作るお以てみるべし、里見志に丸右近元俊は、朝夷郡お自己の名字に改て、丸郡(○○)と号す、里見氏の時に至ても、なほ丸郡と呼たるにや、里見分限帳に、丸郡某村と記せり、又巨松寺鐘銘には、朝平南郡(○○○○)に作る、