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房総志料
三上総附録
一下総千葉郡浜村と、上総市原郡村田村との間に三角畠と字せるあり、状によりて名く、此地に榜示有て、二総の界とす、又同郡閏井戸村より、古市場村お過て、浜村へ至る道に、左右は田にして、臂曲(ひぢまがり)と字せる道有、其形湾にして、臂お折たるがごとし、是又二総の界とすとも雲、いぶかしきことなり、如何となれば、古へ一国お建るの始、かヽる事にて封域お別てるにてはあらじ、おもふに下総千葉郡に隷せる小弓浜村などの地勢によるに、全く上総に属せし地と見ゆ、或いふ浜の村と垣生村との境に、小流有て海に宗す、源は麹室(かうじむろ)といふ所よりながると、これ等や二総の界なるにや、なおまた土人に問べし、