[p.1066]
下総国旧事考
九郡郷
結城郡〈和名抄訓由不岐〉 名義は、かぢおゆふと訓ずるは、結束するの義より取れるなるべし、古語拾遺に、天富命、更求沃壌、分阿波斎部、率往東土、播殖麻穀、好麻所生、謂之総国、穀木所生、謂之結城郡、〈本注、古語、麻謂之総也、今為上総下総二国是也、〉とある如く、穀木の生ずるより取れる名なるべし、今も此地より出る紬、木綿等は、精好天下に冠たり、其由来の旧きこと知るべし、〈按に、古語拾遺の成りしは、大同三年なれば、其以前よりと見ゆ、同書の趣にては、天富命よりの事ならん、〉 四至、今のさまは、東は常陸国真壁郡毛野川故道お限り、南は豊田、岡田、猨島三郡に錯り、西北は下野国都賀郡お限る、統村四十二あり、正徳中所撿括高二万四千六百二十四石余、