[p.1076]
下総国旧事考
十二古書地名考
古川(こか)、〈諸本古河に作れり〉葛飾郡にあり、万葉集〈十四巻〉に、まくらがのこがの、わたりの、からかぢの、おとたかしもよ、ねなへこゆへに、夫木抄〈二十六巻〉西行法師、きりふかきこがのわたりのわたしもりきしの舟付思へ定めよ、左注に、武蔵の国と、下野の国との中にある古河のわたりすとて、霧深かりければよめる雲々、此下野は、下総の誤りなり、古河と中田の辺は、武蔵二毛錯綜しつれば、かヽる事はあるべきなり、東游行嚢抄〈十八巻〉に、古河、自栗橋到于此一里半、利根川舟渡しあり、坂東太郎と雲大河也、以此河為武蔵之堺雲々、中田宿は利根川の東岸にあり、古河へ行程一里、