[p.1088]
古事記伝
二十
常道は常陸なり、万葉二十〈二十六丁〉に比多知、和名抄に常陸比太知、〈比多に常字お書は、万葉十八に、等能乃多知波奈、比多底里爾之氏とあるは、変らず常に照お、比多底里と雲り、此意なり、又十三に、常土と書り、今本には常お当に誤れり、さて知に陸字お書は、陸奥の陸と同くて陸道の意なり、古今集顕注に、常陸はひたかちおひたちとは申すなり、陸おかちともよむなりと雲るお、契冲が陸おかちとよめること未知ず、ひたちはひたみちなりと雲るまことに然り、古歌に、東道の道のはてなる常陸とよめるは、東海道の極なればなり、〉