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類聚名物考
地理四十八
朝来(○○) いたこ 常陸国 朝来の訓は、朝おあしたと訓お、あいたとも通はせるお、上のあお略けるなり、朝所お古訓にあいだんどころといへる例に同じ、近来その文字の訓意お心得かね、かつは文字の雅なるにつきて、潮来と書人もあり、南郭文集に、劉禹錫が竹枝詞にならひて、潮来詞五絶二十首あり、風体絶妙なるに依て、人いよ〳〵その文字お用ゆ、又近頃水戸藩臣森尚謙が儼塾集お読に、元禄己巳季夏下旬、始従相公駕行水戸時の詩に、潮来の七絶有り、潮字お用いたり、さらばその頃にも此事有りしにや、但潮おいたと訓事は心得がたし、 儼塾集〈六〉泛河至潮来、〈俗作板久〉�々青波数十程、遡流蘭漿擊空明、風軽忽到常州境、洗雨松林画不成、