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日本鹿子

同国〈◯常陸〉名所之部 鹿島宮 縁記草創、くはしくは神社の部に有之也、 常陸なる鹿島の宮の宮柱猶万代も君がためとか 鹿島か崎 かしま郡の海辺なり 霰ふるかしまが崎の浪高み過てやゆかん恋しきものお 築波山 当国の海辺にある山なり、観音の霊地也、 今はとて心つくばの山みれば梢よりこそ色かはりけれ 水無能川 桜川 右ふたつの川ひとつ流なり、水上おさくら川といひ、すそお水無能川といふといへり、此所明神の宮井山の上に立給ふ、桜の木多し、依之桜川と雲といへり、川はふもとお流るなり、小川なり、後撰恋の歌に陽成院、 筑波根の嶺より落るみなの川恋ぞつもりて淵と成ける 霞山 霞崎 霞の里 ひとつ所也 昨日まで染し気色お引かへて明る霞の山ぞのどけき ほのかにもしらせてしがな東なるかすみの浦の海士のもしほ火 足雄山 雫(しづく)の森 御牧(みまき) 恋瀬川