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冠辞考
二伊
いはゞしの 〈まぢかき かみなび あふみ◯中略〉巻一に、石走淡海(あふみの)国乃、また磐走(いははしの)、淡海乃国之雲々、〈◯中略〉いはゞしのあはひ(間)といふお、あはうみのあはにいひかけしなるべし、あふみは本阿波宇美なるお、波宇お約むれば布となる故に、阿布美といふめれば、その本の語にいひかけつらん、〈◯中略〉かく幽かにいひかくるぞ、冠辞のならひなりける、〈或説に、田上の辺は、沸ち落る水の磐の上お走るおもて、石走淡海といふといへるは、ゆくりなく聞てはさも有ことゝおもはるれど、古への冠辞のもとづき様、さる事にあらず、〉