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近江国輿地志略
七十七坂田郡
夫以、坂田の郡旧し、初額田(さかた)、後に今の文字に改、旧事紀曰、額田国造、志賀高穴穂朝御世、和邇臣祖彦訓服命孫、大真侶宇命定賜国造雲々、度会延佳神主頭書曰、額当坂作、今近江国坂田郡乎雲々、日本紀の天智紀、倭姫世紀、及延喜式等に、坂田郡の名出たり、此郡南は犬上郡、西は湖にして、乾は浅井郡の界、南浜曾根に交り、北は姉川お限とす、艮は美濃国界伊吹山に接て、東も亦美濃国界藤川山、弥谷(いやたに)、高野(たかの)山、梓河内(あづさかはち)山等に連る、巽は美濃国界浅見が岳、中霊山(なかれうさん)に至る、此郡南北長して東西は少しく短し、