[p.1194][p.1195]
今昔物語
二十八
近江国矢馳郡司堂供養田楽語第七 今昔、比叡の山の西塔に住ける教円座主と雲ふ学生有けり、物可咲く雲て、人咲はする説経教化おなむしける、其れが未だ若くして、供奉と雲て西塔に有ける時に、近江国の郡に矢馳(○○)と雲ふ所に有ける郡司の男、年来極く此の人に志有て、山の不合の事共など常に訪ければ、〈〇下略〉