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尭孝法印日記
文安三丙寅年正月一日、古今集披覧、序春部上、於神前〈〇五条天神社〉読之、勤行及数刻、終夜不一睡、 美乃国真桑庄(○○○)為本領、旧冬令還補、仍一昨日御下知御施行等拝領之時、細川右馬助入道家へ申侍し、 あふぐ哉みのゝお山のまつかひも有ける御代の道のめぐみお 九日、沙弥素欣もとにすぐにまかりて、三十六首うた読はべりしに、〈〇中略〉 恋地儀 たのみこしいなばの山のかひ有て今かへりくる契おぞしる 今度還補真桑庄、稲葉山程近し、仍為逸興如此詠之、但彼行平中納言の古歌は、いなばの国のいなば山也、同名たる計におもひよせ侍る、不可有混乱事也、