[p.0059]
関八州古戦録
十二
佐野小太郎宗綱討死の事 下野国栃木の城主佐野小太郎宗綱は、血気壮勇の荒武者にて、初は北越の幕下たりしが、輝虎卒去の後は、佐竹義重の一味となり、南方と不和なり、然るに佐野と足利とは入組の所にして、年来領境お論じ、近年に至ては、双方の百姓等動もすれば喧嘩闘争して、竟に両地頭の矛盾と成れり、