[p.0064]
人国記
下野国 下野国の風俗、多くは気質に清之内之濁お得たる人多して、其清濁流通する事なく、而邪気甚く、傍若無人に而、常に業とする事、辻切強盗の類にて少も恥る事なく、欲心有てつれなく、而も悪お知て直なる事お不用、如形風俗悪し、然ども其気の強き事は、上方の国五け国、七け国合たるよりは、猶も上成べけれども、更に理非お弁る事なきが故に、法外のみ多し、子細は理非くらきが故に、恥お知る事鮮く、亦恥まじき事にも恥るは、其闇きが故也、如此人百人に九十人也、取分芳賀寒川塩屋那須真壁之人如此也、