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袖中抄
十九
いしぶみ いしぶみやけふのせばぬのはつ〳〵にあひみてもなおあかぬけさかな 顕昭雲、いしぶみとは、陸奥のおくにつものいしぶみあり、日本のはてといへり、但田村将軍征夷之時、弓のはずにて、石の面に、日本の中央のよしかきつけたれば、石文といふといへり、信家侍従の申しは、石の面ながさ四五丈許なるに、文えりつけたり、そのところおばつぼと雲雲々、それおつもとはいふ也、私雲、みちのくには、東のはてと思へど、えぞの島はおほくて、千島ともいふは、陸地おいはんに、日本の中央にても侍にこそ、