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出羽国風土略記

出羽国〈◯中略〉類聚抄又近年開板の節用等にも上管拾二郡とす、延喜式に所謂拾一郡に由利お加へて拾二郡也、庄内物語お引て雲、出羽拾二郡は、田河、飽海、河辺、村山、置賜、雄勝、平鹿、秋田、最上、山本、仙北、由利、出羽府、今通じて斯のごとくいへれど、出羽府といふお合すれば拾三郡なる事お訝る、古への節用集にも、右の十三所お挙て拾三郡と書る有、近年開板の節用には、仙北お除て拾二郡とす、国史お考れば、仙北は古へ山北と書て郡名とは見へず、三代実録元慶四年二月二日、先是出羽国雲、管諸軍中山北雄勝平賀山本三郡、遠く去国府、近く接賊地雲々、山北は郡名にあらざる故に、三郡とは書しなるべし、郡名ならば四郡と書べき所也、